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  寝覚
ねざめ
 重厚な旅館が残る旧道筋の家並み
 長野県木曽郡上松町上松寝覚
構成:旅籠建築 駐車場:なし
 
 
木曽の名勝として有名な「寝覚の床」は上松町の南端にあります。約7,000年前に形成された花崗岩が木曽川の激流によって侵食されてできた自然地形で川幅の狭いところでは7mという峡谷を作り出し、国の名勝にも指定されています。かっては急流であった木曽川も上流にダムが設けられたことにより水位が下がり、水底で侵食され続けていた花崗岩が水面上にあらわれたものなのだそうです。

「寝覚」という地名の由来は童話で知られる「浦島太郎」伝説にちなみます。竜宮城から地上へ帰った浦島太郎は、玉手箱を開けて老人となるのはご存じの通りなのですが、じつは玉手箱を開けるまでに長いエピソードがあったのです。地上に戻ったものの数十年が経過しており、風景も知人もいない状況で浦島太郎は旅に出ます。そしてこの木曽川に辿りつき、美しい木曽谷の風景に竜宮城を思いだして、この地で玉手箱を開けたのでした。夢から目覚めたという事で「寝覚」という地名が生まれたとか。

この寝覚めは江戸時代にも名勝であり、中山道木曽路が整備されると、次第に観光茶屋が軒を連ね、全国に知られるようになりました。もっとも現在の国道19号線は川近くを走りますが、当時の中山道ははるか段丘上を通っていました。

中山道の旧道沿いには今も立場茶屋の「多瀬屋」と歌麿の絵に描かれた「越前屋そば屋」が残っています。この二軒の間の急斜面を下っていくと、国道と寝覚めの床の入口で突き当たります。「多瀬屋」は今も民宿を営み、一方弥次さん喜多さんも食べたという「越前屋」そば店は下の国道沿いで営業しています。
 
 
この坂道を下っていくと寝覚めの床と国道に出る
寝覚の外れに建つ商家と桂の大木