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  大平宿
おおだいらじゅく
 険しい山中に残された小さな宿場町
 長野県飯田市上飯田字大平・大平宿

 構成:本棟出桁造り民家群  駐車場:あり
 
 

中山道の宿場町妻籠と南信の城下町飯田市を結ぶ大平街道があります。木曽と伊那のの境界でもある木曽峠と飯田峠の中間、標高1100mの山間部に「大平」という小さな集落があります。かつて大平街道に設けられた唯一の宿場集落でした。

江戸期に飯田藩と地元商人の手によって開かれた山道が、後に飯田と木曽を最短で結ぶ大平街道となります。大平宿はその中間に設けられた唯一の茶屋場で、林業や炭焼きで生計を立てていましたが、明治に入り車両通行が可能になると、伊那谷と木曽谷を走る二本の鉄道をショートカットで結ぶ主要街道として全盛期を迎えました。

しかし時代の流れと共に街道と集落は衰退の一途をたどり、当時70戸以上あったという大平集落は、昭和45年の集団移住によって廃村となります。

やがて、この大平に分譲別荘地開発が持ち上がりますが、その反対運動をきっかけに「大平をのこす会」が組織され、旧大平宿の保存運動が始まりました。
修復された建物は真新しく感じますが、築年代は江戸末期から明治に建てられたものです。基本的には宿場らしく平入りも妻入りも出桁造りのですが、建てられた時代によって微妙に造りが異なっています。軒先だけを出桁造りにした建物が江戸期のもので、上の写真のように中二階に見える壁の部分を張り出した造りは明治期のものだそうです。
これらの建物は民間のボランテァ「大平をのこす会」の管理によって運営されている
のですが、宿泊費は一人2,000円+協力金。(食事、薪、寝具すべて持参です)