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  田沢温泉
たざわおんせん
 木造多層旅館と白壁の土蔵の小さな温泉地
 長野県小県郡青木村田沢温泉

 構成:木造多層旅館・白壁土蔵 ■ 駐車場:なし
 
 

上田市街から松本街道(国道143号)を西へ約12km、青木村役場からさらに山奥へ入った、十勧山東麓の谷間にかくれたいで湯”田沢温泉”があります。
田沢温泉は7世紀後半、役小角の開湯といわれる歴史の古い温泉で、長い間庶民の湯治場として親しまれてきました。
白壁土蔵に石畳の温泉街には所狭しと明治初期頃に建てられた木造多層の温泉旅館が建ち並び、歓楽色は皆無の温泉地。
湯は子宝の湯、子持の湯、有乳の湯とも呼ばれる単純硫黄泉。
島崎藤村ゆかりの宿である「ますや旅館」は藤村の作品「千曲川のスケッチ」にも登場し、彼が滞在した客室もそのまま残っています。また近年は映画「卓球温泉」の舞台となりました。
一度は泊まって見たいと思っていた矢先、あらかじめ予約は入れず当日に一人宿泊の電話を入れたら運良く泊めさせていただけました。
館内は庶民の湯治温泉らしく色気は皆無で、まあそんなものは求めてはいないのですが、すり減って光沢を帯びた床や階段の手すり、それに今時稀少な歪みの多いガラス窓など建物自体が博物館でした。
ただ「古い街並み」をテーマに旅をしていると「古い」と「ボロい」は別物なのですが、この旅館は「古いとボロい」が共存していました。ガムテープで補強された回らないドアノブなどは、さすがに1泊2食1万円前後の安さでは維持も難しいか。
増築に増築を重ね、迷路のような建物内に白壁の土蔵が姿をあらわした日には、冒険心が擽られます。
非常に貴重な体験であり、是非雪化粧に包まれた冬に再度訪れたいと思いましたが、
源泉約38度の温泉は、さすがにぬるすぎました。低温の湯に長くつかるのは体には良いと思いますが、私は風邪をひいてしまいました。残念。