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筒石という地名は、一部集落愛好家の間では木造3階建て民家が密集する集落として名が通っていますが、多くはJR北陸本線の筒石駅の方が全国的に有名なのでは無いでしょうか。
筒石駅はJR北陸本線の複線化と地滑り災害対策のために、敷設の困難な海岸線の旧線を捨てて、トンネルで山の中をほぼ直線で建設した際に生まれた特殊な駅です。何が特殊かと言うと前後の駅はトンネルの出口付近に設けられていますが、この筒石駅は長大な頸城トンネルの中に設けられているのです。駅舎は約200m登った山の中腹にあり、ホームとは約290段ほどの階段で結ばれています。ちょうど上越線の土合駅に似ています。
列車が通過する際の風圧の為に、ホームと待合い室は扉で仕切られ、乗降客が少ない駅ながらも、JR西日本のメンテナンス子会社の職員が24時間常駐し、駅業務も行っています。
このあたりは山塊が海にせり出した地形で、平地は少なく、フォッサマグナの端部に位置している為に非常に不安定な地質で常に地滑り災害の危険と背中合わせの土地なのです。
筒石は筒石川の河口に開けた漁村で、古くは能生小泊、浦本と共に西浜3大港と称された港町でした。また南北に北国街道が通り、それに沿って街村の形で発展しました。
わずかな土地しか無いゆえに家々の坪面積は狭く、その為建物は3階建ての多層階となり、日本海から吹き付ける風雪に耐える下見板張りの外観はこの地域の伝統的な様式を引き継いでいます。古い漁村集落に見られる迷路のような複雑さはこの集落には無く、細い通りが1本。天候が荒れる季節にはこの通りが生活空間となるのでしょう。
かつての北陸本線はこの筒石集落のすぐ側を通り、駅も近くにありました。現在北陸本線の旧線跡は自転車専用道になっています。
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