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  赤沢
あかさわ
 身延山と七面山信仰で賑わった身延往還の講中宿
 山梨県南巨摩郡早川町赤沢

 構成:旅籠建築民家 ■ 駐車場:有
 
 
日蓮宗総本山・身延山久遠寺の裏山斜面中腹に赤沢という天空の村があります。
この赤沢集落は古くから身延山奥の院と修験霊山の七面山を結ぶ身延往還の宿場町として多くの参詣客でにぎわってきました。自由な国内移動が厳しく制限された江戸時代。信仰を名目にした国内旅行が人々の間で流行りました。伊勢神宮の「お伊勢参り」や四国八十八カ所の「お遍路」もその一つ。身延山参詣は七面山とのセットで行われました。明治初期の赤沢宿には九軒の旅館があり、最盛期の一日当たりの宿泊客は千人を越えたと言われています。

大勢の参詣客をさばくため赤沢の旅籠は長い土間を持つのが特徴で、一階の座敷の回りにL字型の縁側と土間を巡らし、旅人が一斉に出入りできるようにしました。もうひとつ赤沢宿の特徴に、宿の軒下にかかる「講中札」があります。別名「板マネギ」ともいい、各地の「講」が定宿とする宿に印として残した、いわゆる指定旅館の標示。大阪屋の96枚を筆頭に、恵比須屋82枚、大黒屋35枚と有形文化財級の「マネギ」が、宿の軒先にごく自然に往時のまま掲げてある。
昭和に入り衰退の一途をたどった赤沢は、地元にもどってきた青年団によって再生が始まり重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。