明治24年、甲州街道は上野原宿から桂川沿いに新道「川辺通り」が建設された為にかつての旧道沿いの宿場町はその役割を失い衰退していきました。 元来耕地面積が少なく、畑や養蚕業中心に生計を立てていましたが、やがてそれも失われ集落存亡の危機に立たされていました。 やがて戦後の高度成長期に中央自動車道が旧道を分断する形で建設されると、八王子方面への通勤圏として上野原町は新たな時代を迎えますが、過疎化が進む山間に位置する旧野田尻宿の集落に転機が訪れるのは、集落の裏に中央自動車道・談合坂SA（下り線）が建設された事が上げられます。皮肉にも現在の宿場町いや茶屋集落程度かも知れませんが、談合坂下りSAのすぐ北側に野田尻宿があります。 宿場の規模は東西から南北に折れ曲がり５町（約545ｍ）本陣１軒、脇本陣１軒、旅籠屋は９軒あり、その内訳は大２軒・中３軒・小４軒で人馬継立問屋場と高札場の他に郷蔵が２カ所置かれました。宿場内には他に茶屋や諸商人が軒を連ねていました。 現在旧道沿いに残された鶴川・野田尻・犬目の３宿のなかで最も往時を偲ばせる町並みが残されているのがここ野田尻です。

＜古い町並みと集落・甲信越