中央自動車道の北側山間部を走る甲州街道の旧道は、犬目宿を過ぎて鳥沢で新道の国道20号線に合流します。鳥沢は桂川右岸の河岸段丘上に形成された宿場町で、上鳥沢宿と下鳥沢宿の2宿で合宿を成していました。現在交通量の激しい国道沿いにありながら、JR中央本線鳥沢駅のある上鳥沢には宿場町時代の面影を色濃く残す町並みが残されています。鳥沢の地名は江戸よりの犬目宿と甲府よりの猿橋宿と並んで十二支から付けられたといわれ、上鳥沢宿の規模は東西に6町17間(約685m)で本陣1軒に脇本陣2軒・旅籠屋は13軒あり内訳は大5軒・中3軒・小5軒でした。
一方、断続的に家並みが残る下鳥沢宿の規模は
東西に4町30間(約495m)で本陣1軒に脇本陣2軒・旅籠屋は11軒あり内訳は大3軒・中4軒・小4軒でした。
人馬継立問屋場はそれぞれの宿に置かれ、15日交代で業務が行われました。
国道の拡幅によって道路の南側だけに往時を偲ばせる家並みが残されているのは、甲州街道沿いの旧宿場町に多く見られる風景ですが、鳥沢では景観整備が始められているようでした。しかし今後、建物自体にどの程度の保存の手が加わるかは分かりません。旅籠建築の建物は早い時期に養蚕用に改造され、間口はサッシなどに置き換わっていますが、独特の形で付きだした軒桁が印象的でした。
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