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雄大な自然が作り出した若狭の水郷「三方五湖」のうち若狭湾とつながる湖は、日向(ひるが)湖と久々津(くぐつ)湖の2つのみで、他の3湖が三方町(現若狭町)に属しているのに対して、先の2湖は美浜町にあります。
荒々しい男性的な若狭湾に対して、穏やかで女性的な日向湾との対比が美しい日向湖の湖畔に形成された日向集落はまさに天然の良港の純漁村ですが、その日向と接する早瀬地区は、漁業の他古くから商工業の町としても栄え、北前船も出入りする港町でした。
若狭湾と久々子湖(くぐしこ)に挟まれた風向明美な湖口付近、岳山の南麓に早瀬集落はあります。早瀬という地名もまた、この地の風土を非常によく表している感じを受けます。潮の流れが速い「瀬」。まあ、実際のところは遙か昔にこの地を支配した国人領主の林氏に由来するという事で、早瀬の氏神は林明神といいます。
その早瀬集落の中心には、首都圏にもその名が広がりつつある清酒「早瀬浦」を醸す三宅彦衛門酒造があり、その酒蔵を中心に伝統的な家並みが残されていました。
早瀬は古くから千羽稲扱きの生産地として知られ、江戸期には北前船を通して全国に販路を広げました。しかし大正期に入ると脚踏式回転稲扱機が主流になり、早瀬の稲扱機は製造されなくなりますが、水産物の集散地として早瀬は市街化していきます。商店のほか飲食店や料亭も多く活況を呈したと言われています。もちろん、現在はそのような喧噪とはまるで無縁な、のんびりとした、のどかな集落です。
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三宅彦衛門酒造 |
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日向湖畔の漁村集落・日向(ひるが)地区 |
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