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  蛸島
たこじま
 廃線の遺構と町並みが残る漁港の町
 石川県珠洲市珠洲市蛸島町

 構成:切妻妻入り民家・土蔵・酒蔵 ■ 駐車場:なし
 
 
能登半島最端部の市である珠洲市は、輪島市と並んで奥能登東海岸における政治・経済の中心地でした。かつて金沢からこの珠洲市まで引かれた国鉄能登線を前進とする第3セクター「のと鉄道」能登線は、珠洲市の中心部で終点とはならず、さらに奥に位置するこの蛸島まで延伸していました。
これは、蛸島町の鉢ヶ崎をリゾート開発し、海水浴客や観光客の為に設けられた駅であり、町いや集落自体は駅から少し離れたのどかな漁村です。
しかし、この蛸島町は歴史の古い港町の一つでありました。珠洲市の天然記念物に指定されている、高さ30mの「山王の森」と呼ばれる小高い丘。これと沖合に浮かぶ弁天島が目印となり、加えて砂浜の割に海が深かった事などから、古くから港町として発展していたのです。江戸期には家数400軒で4軒の酒蔵もあったとか。

現在は蛸島漁港を擁する600世帯あまりの中規模な漁村。しかし町は2筋に沿って整然と家並みが連なり、漁村というよりも商業の町、在郷町に近い様相です。
能登半島の標準的な素板張りの建物に混じって、漆喰の塗籠造りの建物もあちらこちらで目にすることが。さらに道路に面して土蔵も多く、それらが相対的に町並みを形作っています。これはあきらかに、町並みを意識して景観を整備しているもので、それが住民の自主的な物なのか、行政が関わっているのかまでは分かりません。

のと鉄道穴水〜蛸島間の能登線は2005年に廃止され、駅舎を残して橋梁や線路はほぼ撤去が完了しています。そんな中で、蛸島〜正院間はいまも保線区間を残し、NPO法人「のとエア・レール21」によるNT100形1両が動態保存されています。
もっとも、車両基地はあるわけでは無く、田園風景の中に風雨にさらされながら、いつ訪れるか分からない観光鉄道開通の日をただじっと待ち続けていました。
 
 
 
蛸島の地酒「初桜」櫻田酒造。ほぼ地元消費であまり流通しない酒です。
動態保存されているNT100形車両・前後の線路は途切れています
 
珠洲市の酒蔵          
清酒 「初桜」 櫻田酒造 石川県珠洲市蛸島町ソ部93外 0768-82-0508
清酒 「宗玄」 宗玄酒造 石川県珠洲市宝立町宗玄24-22 0768-84-1314