羽島市は東に木曽川、西は長良川に挟まれたV字形の地域で農村部と中心市街の竹鼻からなります。かつては尾張国に属していましたが木曽川水流の変化により美濃国へ編入されました。この地域は古くから水害の常襲地でしたが、木曽川対岸の尾張藩が水害対策の為の堅固な「お囲堤」を築造したことから羽島郡はより一層の水害多発地域となってしまいます。宝暦年間(1751〜)から幾度のも治水事業が行われてきましたが、いずれも応急的なもので抜本的な解決には至っていません。その為羽島郡の農村地域には主家や土蔵を石垣の上に持ち上げた造りが多く見られます。
やがて水害によって稲作に不向きな土地柄から次第に木綿縞の生産へとシフトしてい事により、羽島郡は木綿縞の特産地として発展すると共に、古くより近隣諸村の物資交易地として六斎市が立った竹鼻は、やがて繊維業を中心とした在郷町へと発展していきます。
竹鼻町は「田んぼの中の政治駅」と揶揄された東海道新幹線「岐阜羽島駅」の北東方向、名鉄羽島線で2つ目の駅にあります。竹鼻の町並みは羽島市役所から北へ逆川に沿って形成され、その中央に商店街が連なります。中町にある千代菊酒造から北へ続く新町・福江町と中町の西側に併走する下城町・宮町に伝統的な町並みが多く残されていますが、さらに広い範囲にわたって町並みが点在しています。多くは明治以降に建てられたものですが、袖卯建に千本格子の見事な町並みが残されている事に驚かされました。
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