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  名柄
ながら
 重厚な家並みが残る水越街道の宿場町
 奈良県御所市名柄

 構成:商家・町家・酒蔵・土蔵・築地塀 ■ 駐車場:葛城酒造P
 
 

奈良県御所市から大阪府最後の村である千早赤阪村を抜けて寺内町で知られる富田林にいたる国道309号線があります。かつては険しい水越峠越えがありましたが、現在は水越トンネルが開通し気が付けば、あっという間に県を越えています。
しかし、旧道も日本の水百選に選ばれている役行者の滝の水を求める人が後を絶ちません。古くから水に恵まれなかったこの地は、つねに水論が絶えませんでした。
江戸時代、大和と河内の間に横たわるこの峠の水源の水を、河内の村民がすべて河内側へ切り落とした事に端を発し、国境の策定を巡る争いにまで発展しました。大和側は京都所司代に訴えて勝訴し、本来地理的に大阪側へ流れる水を、すべて人工的に奈良側へ導水しているために「水越し」という名が付けられました。

水越峠の大和側の集落である名柄は、大和と河内を結ぶ水越街道と南北に葛城山系をい走る名柄街道が交差する要衝で、宿場町として栄えました。
また名柄街道の一部を葛城古道ともいい、古くは西の山辺の道とも呼ばれ、山岳信仰として知られる葛城山と金剛山へ登る修験者の宿場町でもありました。
名柄は現在も宿場町の面影を色濃く残す集落で、国の重要文化財に指定されている中村邸は慶長年間(1596〜1615)に建てられた代官屋敷であり、それ以外にも江戸時代に建てられた重厚な商家建築が数多く残されています。さきの中村邸と水越街道の旧道を隔てて建つ酒蔵が、明治20年創業・地酒「百楽門」の葛城酒造です。
名柄集落の東西両側を走る国道と主要地方道が、完全にバイパスの役目を果たして集落の中を通行する車両はほとんど無く、ひっそりと佇む築300年以上の商家や土塀、土蔵、寺院に酒蔵が揃い、立体的な地形と共に「町ごと博物館」のようなみごとな町並が残されていました。

 
 
名柄の酒蔵          
清酒 「百楽門」 葛城酒造 奈良県御所市名柄347-2 0745-66-1141