吉野町上市から宇陀松山藩の城下町で知られる大宇陀へ通じる道筋に、吉野町から大宇陀町にまたがる竜門という地域があります。
中世に竜門寺の荘園として発展したこの地域の中心集落である佐々羅は吉野川支流の竜門川と志賀川に挟まれた農村集落であると共に、吉野の宇陀を結ぶ街道集落だったと思われる町並みがひっそりと残されていました。
佐々羅集落に足を踏み入れると、まずトタン張りになっている大和棟の建物が出迎えそして厨子二階に塗籠造り、虫籠窓に出格子を備えた建物が点在していました。
その中で最も重厚な佇まいを見せる屋敷が旧坂本家邸で、現在財団法人阪本龍門文庫として保存されています。
この坂本竜門文庫は、 故阪本猷氏によって集められた古書およそ一千店を保管する資料庫で、古写経を始めとする古写本、古版本、古活字本、自筆本、江戸絵入版本等あらゆる分野にわたる日本文化研究の貴重な資料を、故千代子夫人の手により創設されたものです。
山間の小さな農村集落に、財団法人によって守られる町並みがあることに、古都奈良の奥深さを感じました。
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