古くから湯の町として知られる山鹿は、菊池川の舟運による物資の集積地や東西南北に貫く交通の要衝であり市場町として発達しました。さらに熊本と小倉を結ぶ薩摩街道(小倉街道)の宿場町であると共に、平安時代から続く温泉の町でもありました。現在も旧薩摩街道をなぞる国道3号線が市域を南北に縦貫し、柳川と延岡を結ぶ2つの国道が分岐しています。明治には郡役所が置かれ、熊本県北部の行政、経済、交通の中心地として栄えます。
古い街並みは、明治に建てられた日本四大芝居小屋で知られる八千代座脇を通る旧薩摩街道沿いの上町、日吉町、九日町のあたりと中町付近及び旧菊池往還沿いに点在する形で見られます。建物の多くは明治期以降に立てられた2階建塗籠造りの商家の他、大正時代築の旧安田銀行山鹿支店をはじめとした西洋建築も数多く見られます。
ガイドブックなどでは、八千代座を中心とした周辺地域の町並みが紹介されるにとどまる例が多いのですが、山鹿の町並みの本命は千代の園酒造のある下町周辺にあります。国道を渡り山鹿温泉プラザ裏手に続く旧街道に沿った商店街の中程から塗籠造りの商家が軒を連ね初め、千代の園酒造にてピークを迎えます。
下町には酒蔵関連施設を初め、味噌や酢の醸造蔵と商家が立ち並ぶ重厚な町並みが残されています。建物の所有者が地元有数の企業群であることが、これらの町並みが保存され続ける要因となったのでしょう。
山鹿灯籠祭りは、あるテレビCMのワンシーンで全国に知られ山鹿を観光地に押し上げました。祭りは毎年8月15日から3日間行われます。その中で16日に行われる千人灯籠踊りが祭りのハイライトとなります。
訪れた日は灯籠祭りの前日で、町中で祭りの準備が行われていました。
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