本町2丁目にある三木市消防署の脇から神戸電鉄三木上の丸駅に伸びる商店街が、
古くから摂津の有馬温泉(湯山)へ通じる湯山街道で、道筋は鉄道の線路下を潜り
通りを渡り、位谷川を越えると府内町、芝町、大塚へと連なります。
府内町と芝町の境には2軒の酒蔵が道を挟んで並んでいます。
三木市は金物産業の町として知られていますが、吟醸酒の原料として最高峰に位置づけられている酒米(酒造好適米)「山田錦」の産地でもあります。もちろん山田錦以外にも多くの種類の酒米が存在し、またそのいくつかも生産しています。
古くから米どころであり、良質な水にも恵まれ、交通の要衝として栄えた江戸期の三木の町には、17軒もの酒蔵があったと言われています。しかし、現在市内に残る酒蔵はこの福太醸造と稲見酒造の2軒だけとなりました。
播磨と摂津を結ぶ山間部の道・湯山街道は西国街道(山陽道)の脇往還として、有馬温泉を行き来する湯治客だけでなく、参勤交代の大名にも使われていました。
伝統的な商家や町家のたたずまいを残す金物問屋や金物製造業者が軒を連ねる、府内町から2軒の酒蔵を通り、道は緩やかなカーブを描きながら坂を上り、切妻平入に千本格子の伝統的な町家が並ぶ丘陵上の大塚へ続きます。
この大塚には宿場町の特徴である桝形も残されていました。
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